岩明均
ヒストリエ
講談社
講談社の雑誌「アフタヌーン」に連載されている岩明均さんの漫画で、2024年6月に12巻が発売されました。
単行本を購読されている方は同じ思いだと思いますが、新刊が出るまでの期間がとても長く、完結するか心配です。
ストーリーを思い出すため、そしてやっと読むことができる新刊の内容を楽しむため、今回も1巻から11巻までを丁寧に読み直してから12巻を読みました。
アレクサンドロス3世に仕えた書記官エウメネスを主人公にした漫画で、12巻までの内容ではアレクサンドロス3世ではなく、父のフィリッポス2世に仕えています。
物語は青年のエウメネスが故郷のカルディア市に帰ろうとするところから始まりますが、カルディアに住んでいた子供時代の話も出てきます。それまで、町の権力者の子供として恵まれた環境で暮らしていましたが、ある事件をきっかけに奴隷になってしまいます。
普通であれば卑屈になったり悲しんだり、または投げやりになってしまいそうですが、エウメネスは大人顔負けの精神力で奴隷であっても堂々とした態度を取り戻します。
岩明均さんの「寄生獣」も好きで時々読み返しますが、著者の漫画を読むと人間のたくましさについて考えさせられます。
ひとには、それぞれに得意なこと不得意なことがあります。さらに考え方や好み、価値観が異なります。
だから、ひとの強みも千差万別で、体力、筋力、技術、経験、知力、勇気、胆力、自制心など色々あります。
種類はなんであれ、それぞれのやり方で危機を乗り越えるたくましさを発揮するところや、人間はこんなに強いんだという驚きこそ、著者の作品の大きな見どころだと思います。
自分が何をしたいのか、何を大切にしているのか、そういうことはわからなくても仕事はできますし、生きていくことはできます。しかし、自分の価値観、好きなこと、やりたいことは、心の声を聴く練習をしていけば、いつかわかる気がします。すぐにはみつからないかもしれませんが、まずは心の声を素直に聴くことから始めようと思います。
※アイキャッチの画像は、ヘカタイオスに案内をしてもらうエウメネス(7巻)を参考にしました。
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