カガノミハチ
アド・アストラ ―スキピオとハンニバル―
集英社
ウルトラジャンプで2011年4月から2018年2月まで連載されていたカガノミハチ氏の漫画で、単行本は全13巻です。
紀元前264年~146年まで、地中海世界を舞台に3回にわたり繰り広げられたローマとカルタゴのポエニ戦争。
戦争の前までは地中海交易の主役だったカルタゴですが、第三次ポエニ戦争でローマに敗れると滅亡させられてしまいます。逆に、カルタゴに何度も致命的なダメージをあたえられても耐え続け、最終的にカルタゴに勝利したローマは、地中海世界の覇者にのし上がっていきます。
「アド・アストラ」では、カルタゴのハンニバルがヒスパニアのサグントゥム(現スペイン東海岸サグント)を攻撃したことから始まる、第二次ポエニ戦争がテーマです。天才的な軍略でローマに侵攻するハンニバルと、そのハンニバルを密かに師と仰ぐローマ人スキピオとの戦いを、カンナエの戦いなど有名な戦いを中心に描いています。
浮力の原理で有名なアルキメデスが殺害されてしまう、シラクサの戦いも出てきます。
カルタゴと同盟を結んだシチリア島の都市シラクサは、ローマ軍の攻撃を受けます。アルキメデスによって考案されたとされる数々の兵器でローマ軍に抵抗しますが、最終的にはシラクサは陥落します。ローマ軍の将軍マルケルスは、シラクサ陥落時、ローマ兵にアルキメデスを殺さないように伝達しますが、結果的にローマ兵がアルキメデスを殺害してしまいます。
このシラクサの戦いを描いた漫画として、岩明均氏の「ヘウレーカ」が有名です。「ヘウレーカ」にの主人公スパルタ人のダミッポスは、「アド・アストラ」にも登場します。興味がある方は、是非「ヘウレーカ」と読み比べてみてください。
タイトルの「アド・アストラ」についてですが、ラテン語で「困難を通じて天へ」を意味する「ペル・アスペラ・アド・アストラ」に由来します。ハンニバルを倒すために血塗られた道を進む覚悟をしたスキピオは、この言葉を固く胸に刻み付け成長していきます。
どんな苦難も受け入れる本気の決意をしたときに、人は生まれ変われるのかもしれません。
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