アーシュラ・K.ル=グウィン 作、 清水 真砂子 訳
さいはての島へ ゲド戦記3
岩波少年文庫
ゲド戦記の三作目。前作「こわれた腕環」から数年後か、あるいはもっと後の話。
ゲドは大賢人として、ロークの魔法学院を治めていた。ある時、エンラッドからアレンという王子が父王の命でロークへやってくる。アレンは、近頃、西方のナルベデュエン島で魔法の力が弱まっており、この問題を解決するために父王からロークへ派遣されたという。
ロークの長たちと話しあい、ゲドはアレンと問題を解決するための旅に出る決意をする。
前作の「こわれた腕環」と異なり、今作はアースシーと呼ばれるゲド戦記の世界のあちらこちらが舞台となる。
始まりは、学院のあるローク島。次に、その南にあるワトホート島のホート・タウンへ向かうと、魔法の力を使えたのに、今は魔法を使えなくなっていた人たちに出会う。さらに南にあるローバネリー島では、魔法の力での染物を生業としていた一家は魔法の力を失い、ほかの島民たちも無気力になっていた。
その後、地図にないような外海の世界まで航海し、海上で生活をしている人々に命を助けられたり、さいはての島として知られているセリダー島へも向かうことになる。
アレンは、誠実だが経験の少ないほんの子供で、この旅でも何度か危険な目にあったり、ゲドとの関係に悩んだりと、未熟な印象がある。しかし、ゲドと旅をすることで、さまざまな経験を積み、ゲドを助けることも何度かあった。
また、アレンを連れ合いとしたゲドには、最初からアレンこそが問題を解決する重要な役割を担っていると気づいていた様子もあり、アレンを温かく見守り続けていく。
この、子弟のような、または親子のような二人の関係性が面白かった。
アースシーの世界では、基本的に移動は船。ゲド達も、はてみ丸という小さな帆船で何か月も航海を続ける。
自分も、小さなヨットを運転してみたい。ヨットは無理でも、カヤックにはいつか乗りたい。
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