佐藤 秀明
犬といっしょにイカダ旅 (たくさんのふしぎ2023年8月号)
福音館書店
中高生の頃、野田知佑さんのエッセイを読んで、カヤックで川下りすることに憧れていた。
大人になってからは、現実の厳しい面ばかりに目を向ける毎日で、そんな憧れもすっかり忘れていた。
数年前にふと野田さんのエッセイが読みたくなり、Amazonで中古の本を何冊か購入して読み直してみたが、やっぱり面白い!
日常からの解放感。誰にも縛られず行動する自由と孤独。自然の厳しさとの戦い。
雨が降れば何日でも天幕の中で晴天を待ち、読みたい本を読み、好きな酒を飲み、焚火で暖まり、旨いものでお腹を満たし、日が昇るまで寝る。
野田さんは2022年に84歳で亡くなられたが、75歳のときにイカダに乗ってカナダのユーコン川を下った時の様子を、友人で写真家の佐藤秀明さんがこの本で紹介されている。
「月刊 たくさんのふしぎ」は子供向けの雑誌で、世の中のふしぎなことを楽しく紹介している。
この本にはたくさんの写真が掲載されているし、文章もとても優しい。読んでいて、自分も旅をしているようで気持ちが豊かになる。
野田さんの川下りは犬と一緒のことが多い。
昔、野田さんが川下りでカナダへ出かけたとき、飼っていたビークル犬を近所の家に預けたら、その家から逃げ出して行方不明になってしまった。それ以後、外国へ行くときでも犬を連れて行こうと決心する。
この旅でも、気が強く人や犬に対して物怖じしないアレックス(オス10歳)と、おとなしくのんびりするのが好きなハナ(メス8歳)の2匹のボーダー・コリーと川を下った。アレックスは、朝食用に釣った魚を全部食べてしまったりもするけれど、2匹は野田さんが寂しいときや不安な時には慰めて心を穏やかにしてくれる大事な存在。
犬とカヤックに乗って川を下る、こんな旅をいつかしてみたい。
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