三島市にある佐野美術館で開催中の「没後5年 いのちの鼓動を描く―日本画家・堀 文子」に行ってきました。この展覧会に行くまで堀さんのことはまったく知りませんでした。展示会で堀さんの絵と文章にすっかり心を打たれました。
堀文子(ほりふみこ)さんは、1918年(大正7年)に生まれて、2019年(平成31年)に100歳で亡くなられました。
テレビ番組「徹子の部屋」のセットに飾られている、青い服を着た女性の絵がありますが、これは「アフガンの王女」という堀さんの作品で、黒柳徹子さんをモデルにして描かれた絵です。
堀さんのことは知らない人でも、この絵のことは印象に残っている人は多いかもしれません。
展覧会では、絵の他にもスケッチや文章も展示されていました。どれも素晴らしかったので、帰るときにミュージアムショップで「ひとり生きる 人生は幕引き直前まで面白い」(三笠書房)という堀さんの本を買いました。
この本は、これまでの堀さんの著作から文章を選んでまとめたもので、堀さんのことを知らない人にとっては入門書のような本です。
堀さんの文章は、凛として潔く上品で、最近こういう文章を目にすることはすっかり減ってしまったように感じます。好きな文章はたくさんありますが、以下の一文だけ引用します。
先を争って地に還っていく落葉の美しさはたとえようもない。
傷ひとつない幸せだったもの。患ったもの。虫に食われ穴だらけのもの。神はどの葉にもへだてなく、
その生きた姿をほめたたえ、美しい装いを与えて
終焉を飾って下さるのだ。
(「ひとり生きる 人生は幕引き直前まで面白い」(三笠書房)P214)
まだ読み始めたばかりですが、身内で古くから堀さんのファンの方がいて、何冊か画文集を借りることができました。
堀さんの絵をながめて、文章を読んでいる間は、至福の時です。その時だけは日常から離れて堀ワールドへテレポートすることができます。
普段の生活に流されて、自分を失いそうなときには、また堀ワールドへ行くしかありません。
※アイキャッチ画像は、以前メキシコへ出張した際に現地で買った、木彫りの動物たちを水彩画で描いてみました。堀さんも「サミット」という作品で、メキシコの木彫りの動物たちを描かれています。とても楽しくて、優しさにあふれる大好きな作品です。今回の展示会で、原画を観ることができて、とても幸せでした。
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